にぼしめし

備忘録

「私の事を愛していますか?」「愛してる」:野﨑まど『2』感想

ここまでたどり着くまで本当に長かった。

 

2 (メディアワークス文庫)

2 (メディアワークス文庫)

 

 

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狂って壊れているのは世界か私か:米代恭『あげくの果てのカノン』1~3巻感想

「はい」って言ったら、罰を受ける。
先輩との恋を望んでしまった…これは罰?

米代恭『あげくの果てのカノン』を現在刊行されている3巻までまとめて読み、何とも言えない感慨が溢れてきたので簡単にまとめる。

あげくの果てのカノン(1) (ビッグコミックス)

あげくの果てのカノン(1) (ビッグコミックス)

 

 

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2017年5月の読書概況

長すぎた春もいつの間にか去り、街はすっかり夏の匂いに包まれています。
早くもやや夏バテ気味でへたっております。
2017年はインプットに力を入れようと決意したものの、消費的に読み散らかしているだけであることにふと気付いたので、そこで敬愛しております 宇宙、日本、練馬 さまに倣い、一ヶ月毎に読書やその他の状況を簡単にまとめることを試みようと思います。

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ずっと大好きなキミに:「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE 石川公演」LV感想

去る5月27日の土曜日に『THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 5thLIVE TOUR Serendipity Parade!!! 石川公演』初日のライブビューイングを鑑賞した。やはり愛と夢と情熱と涙に満ちた最高の公演だったと感じる。

 

私は宮本フレデリカさんの担当プロデューサーであり、今回の公演も髙野麻美さんを応援するために観に行ったのだが、帰宅した頃には完全に速水奏さん役の飯田友子さんに惚れ込んでしまった。もともと大好きな速水奏さんというアイドルが、飯田さんの体を借りてそこに居たような錯覚にとらわれてしまったのだ。速水奏さんというアイドルは間違いなくNEXT STARだ、あるいは既にトップアイドルへの道を歩いているのかもしれない、と奇妙な確信に似た感慨を得た。

 

以下、個人的な感想を備忘録を兼ねて述べていく。

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私が私を革命する物語:『少女革命ウテナ』感想

少女革命ウテナ』を観終わった。
寓意とメタファーに満ちた美しい物語はひどく難解だったが、その中に込められたメッセージのようなものはなんとなく掴み取れたように思う。感じたことと考えたことを自分なりに書き留めておきたい。

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世界は音楽に満ちている。:恩田陸『蜜蜂と遠雷』感想

 

 遅ればせながら第156回直木賞受賞作である、恩田陸蜜蜂と遠雷』を手に取った。もともと読みたいと思っていたところに「ピアノコンクールにまつわる群像劇」と聞き居てもたってもいられなくなってしまった次第である。

 結論から言えば、私はこの作品に出会うために読書をしてきたのかもしれないと感じるほどの作品だった。

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それでお前は誰なんだ?:『シルバー事件』感想

※ネタバレを含みます。

 

 昨年の秋ごろ、HD版リリースに合わせて購入した「シルバー事件」をようやくクリアした。「ものすごく人を選ぶけれど、嵌る人はとことんのめり込むだろうな…」が第一の感想である。

 正直、やたら面倒なシステム、謎解きですらない謎解き、いちいちもっさりしている挙動、文脈がよくわからない言葉足らずのテキスト、と勧めるに躊躇する点は数多くあるが、シナリオ全体に漂う独特の寂寞感とアングラ感が心地よく、クリアした後の余韻がとても良い。「ウエハラカムイとは何者か?」という問いに終始し、一応解答らしきものは提示されるが、クリアして抱く感想は「それでお前は何者なんだ?」である。ずっと「自分」だと思っていた私(特に入力時に謎の勘違いから「me」というネームにしていた故に余計に)がどんどん自分の手を離れ、乖離し、浮遊し、どこか遠くへ行ってしまうのが奇妙だった。

 一番好きなシナリオは「パレード」だ。これはもう圧倒的で、このシナリオがあるがために他の欠点が全て掻き消えている。コダイスミオの名を見るだけで胸が詰まる。その愚かさゆえ愛してしまう。「パレード」中盤までは、なぜこのシナリオがやたらと評判がいいかが理解できなかった。ただの誘拐事件でしかなく、よくわからないまま終わる上に不気味だ…と思っていたところに、コダイスミオの名が出てきて文字通りひっくり返りそうになった。このゲームを進めていると毎度なぜか眠くなってしまうのだが、この時ばかりは一瞬で目が覚めた。そして涙をとめることはできなかった。過去を殺す・・・最後の会話がよかった。先ほど言葉足らずのテキストと批判したが、このシーンではそれが最良の形で活きていた。極限まで余分な要素がそぎ落とされ、シンプルで含みのある会話となっていた。「僕の全てがありました」からの背広の思い出はずるい。もともとコダイスミオというキャラクターを気に入っていたがために、この展開はショックで仕方なかった。あまりの喪失感に、「パレード」を終えてからしばらくプレイを休んだ。しかし、コダイスミオの存在ゆえに私はこのゲームのことを忘れないだろう。